私たちが暮らすこの宇宙は、一体何からできているのでしょう?そして、宇宙の始まりから終わりまでを説明できる、たった一つの「神の方程式」は存在するのでしょうか?
長年、物理学者たちはこの問いに挑んできました。そして今、その究極の答えに最も近いと考えられているのが、「超弦理論(Superstring Theory)」です。今回は、世界的に著名な理論物理学者であるミチオ・カク博士の洞察を交えながら、この壮大な理論の核心に迫ります。
超弦理論とは?簡単にいうとどんな理論?
私たちが普段目にする物質は、分子や原子でできていますよね。そして原子をさらに小さくすると電子や陽子、中性子といった素粒子にたどり着きます。この素粒子こそが物質の最小単位であると長年考えられてきました。
しかし、超弦理論は全く違う視点を提示します。ミチオ・カク博士によると、超弦理論ではこれらの素粒子は“点”ではなく、極限まで小さく振動する弦(ひも)でできていると考えられているのです。この弦の振動パターンの違いによって、電子やクォーク、ニュートリノといったさまざまな素粒子が生み出されているといいます。
つまり、私たちが知る宇宙の基本構成要素は「ひも」であり、そのひもの動きが物質の性質や力を決めているということです。この発想はとてもシンプルですが、その概念はこれまでの物理学を根本から覆すほど革命的なものです。
ミチオ・カク博士とはどんな人物?
ここで改めて、超弦理論を語る上で欠かせないミチオ・カク博士について紹介します。博士は日系アメリカ人で、ニューヨーク市立大学の理論物理学教授を務めています。専門は理論物理学の中でもとくに超弦理論や宇宙論で、アインシュタインの統一理論の完成を生涯の目標としています。
さらに、難解な物理学を一般の人にもわかりやすく解説する才能に長けており、数々のベストセラー書籍やテレビ出演で世界中にファンを持っています。彼の語る未来予測や量子理論の話は、専門家だけでなく一般の人々にもインスピレーションを与え続けているのです。
超弦理論で説明できること
では、この超弦理論で何が説明できるのでしょうか?
まず大きなポイントは、これまで統合不可能とされてきた「相対性理論」と「量子力学」という二つの柱を一つにまとめられる可能性があることです。
- 相対性理論:宇宙規模の大きさを扱う理論。ブラックホールやビッグバンなど、重力が強く働く世界を説明する。
- 量子力学:原子や素粒子など極小の世界を扱う理論。電子の振る舞いや光の粒子性などを説明する。
この二つの理論はどちらも実験で確かめられた正しい理論ですが、数学的にはどうしても両立できない矛盾がありました。しかし、超弦理論を用いるとこの矛盾が解消され、両者を統合した**「万物の理論」**が見えてくると言われています。
10次元や11次元の世界とは?
超弦理論でもう一つ外せないポイントが「高次元」の概念です。私たちは縦、横、高さの三次元と時間を含めた四次元の世界で生きていますが、超弦理論によると実際には10次元や11次元が存在しているといいます。
ミチオ・カク博士によると、私たちが普段感じることのできない次元が、微細なスケールで折りたたまれた状態で存在しているそうです。これはカルツァ=クライン理論という高次元の空間の考え方と密接に関わっていて、宇宙の仕組みを理解する上で重要な視点になっています。
博士は、「私たちが見ているこの世界は、氷山の一角にすぎない」と語ります。つまり、私たちが目にしている世界は高次元宇宙のほんの一部分であり、見えない次元こそが宇宙の真理を握っている可能性があるということです。
宇宙の謎に挑む超弦理論の未来
現在、超弦理論はまだ完全に証明された理論ではありません。しかし、もしこの理論が完成すれば、
- ビッグバン以前に何があったのか
- ブラックホールの内部では何が起きているのか
- 宇宙に存在するすべての力を一つの数式で表現することができるのか
といった、これまで人類が解き明かせなかった謎に答えが出せるかもしれません。
ミチオ・カク博士は「超弦理論が完成すれば、私たちは“神の方程式”を手に入れることになる」と語ります。この神の方程式とは、宇宙のすべてを説明できる究極の公式を指しているのです。
まとめ|ミチオ・カク博士と超弦理論から学ぶこと
今回は、ミチオ・カク博士がわかりやすく解説している超弦理論について詳しくご紹介しました。
- 超弦理論は、宇宙の最小単位は“ひも”であるとする理論
- 相対性理論と量子力学を統合する「万物の理論」の有力候補
- 10次元や11次元といった高次元世界の存在を予測
- 宇宙誕生の謎やブラックホールの正体に迫る鍵となる可能性がある
宇宙や物理の話は一見難しく感じられますが、ミチオ・カク博士の著書や講演を聞くと、その内容がまるで物語のように心に響きます。私たちの日常とは遠い世界の話に思えるかもしれませんが、こうした理論の探究こそが、文明や科学を次の時代へと押し進めていく原動力になっているのです。
もしこの記事を読んで興味が湧いたら、ぜひ博士の書籍を手に取ってみてください。そこには、宇宙の真理を追い求める人類の終わりなき挑戦と、私たちが生きる世界への新たな視点が詰まっています。
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